システム既定動作の変更オプション
システムの既定動作を変更するオプションを提供します。
Directed broadcastパケットの転送
送信先IPアドレスが Directed broadcast であるIPv4パケットについて、自身が接続されているネットワークへの転送可否を設定できます
- 有効時は、Directed broadcast パケットを転送します。
- 無効時は、Directed broadcast パケットを破棄します。
- デフォルト動作
- 無効
リンク状態とIPパケット受信可否の連動
インタフェースのリンクダウンに連動して当該インタフェースのIP通信可否を制御できます。
- 有効時は、インタフェースがリンクダウンしているとき当該インタフェースのIPアドレスへの通信を禁止します。
- 無効時は、インタフェースのリンク状態によらず当該インタフェースのIPアドレスへの通信を許可します。
- IPv4とIPv6を個別に設定できます。
- デフォルト動作
- 有効
リンク状態とConnected経路有効性の連動
インタフェースのリンクダウンに連動して経路表から当該インタフェースのConnected経路を削除できます。
- 有効時は、インタフェースがリンクダウンしているとき当該インタフェースのConnected経路を削除します。
- 無効時は、インタフェースのリンク状態によらずConnected経路を維持ます。
- ただし、インタフェースがリンクダウン状態のConnected経路は、ステータス(show status route.*)上のFlagがMになります。
- FlagがMの経路は経路再配布の対象となりません。
- IPv4とIPv6を個別に設定でき、Connected経路削除時はARPキャッシュまたはNDPキャッシュもクリアされます。
- デフォルト動作
- 有効
ICMPリダイレクトメッセージの発行
パケットを受信したインタフェースと送信するインタフェースが同じとき、パケットの送信元ホストに適切なゲートウェイを通知することができます。
- 有効時はICMPリダイレクトメッセージを発行します。
- 無効時はICMPリダイレクトメッセージを発行しません。
- IPv4とIPv6を個別に設定できます。
- デフォルト動作
- 無効
フラグメントパケット受信時の再キューイング
フラグメントパケットを受信したとき、受信時に働く各機能の処理前にフラグメント・オフセットに従うよう受信順を入れ替えることができます。
- 有効時は受信したフラグメントパケットの再キューイングを行います。
- 無効時は受信したフラグメントパケットの再キューイングを行いません。
- IPv4とIPv6を個別に設定できます。
- デフォルト動作
- 有効
新しく受信したルータ広告の優先
新しく受信したIPv6ルータ広告の情報を古いルータ広告より優先することができます。
受信済みのルータ広告と異なるプレフィックスやデフォルトルータを含むルータ広告を受信したとき、通常は先に受信した古いルータ広告の情報を優先します(RFCに準拠する動作)。
本オプションを有効化すると、最後に受信した新しい広告の情報を優先するように動作を変更します(RFCに非準拠の動作)。これにより、ゲートウェイルータのリプレースや設定変更に伴うプレフィックスやルータアドレスの変更に素早く追従することができます。
- デフォルト動作
- 無効
機能無効時(デフォルト)の動作
先に受信した古いルータ広告の情報を優先して採用しながら、後に受信した新しいルータ広告の情報も保持します。
- インタフェースのIPv6アドレス
-
- システム起動後に初めてルータ広告を受信すると、広告に含まれるプレフィックスから生成したIPv6アドレスをインタフェースのプライマリアドレスとして設定する
- 新たに受信したルータ広告に含まれるプレフィックスが設定済みのアドレスと異なる場合は、生成したIPv6アドレスをインタフェースのエイリアスアドレスとして追加する
- プライマリアドレスのプレフィックスの有効期間が更新されずに満了すると、当該IPv6アドレスを削除した上で最も古くに追加されたIPv6アドレスがプライマリアドレスに繰り上がる
- デフォルト経路
-
- システム起動後に初めてルータ広告を受信すると、広告に含まれるルータアドレスを内部的なルータリストに追加した上でデフォルト経路として設定する
- 新たに受信したルータ広告に含まれるルータアドレスがルータリストに無い場合は、ルータリストに追加する
- ルータアドレスの有効期間が更新されずに満了すると、当該ルータアドレスを削除した上で最も古くに追加されたルータアドレスをデフォルト経路に採用する
有効化時の動作
後に受信した新しいルータ広告の情報を優先して採用し、先に受信した古いルータ広告の情報を削除します。
- インタフェースのIPv6アドレス
-
- システム起動後に初めてルータ広告を受信すると、広告に含まれるプレフィックスから生成したIPv6アドレスをインタフェースに設定する
- 新たに受信したルータ広告に含まれるプレフィックスが設定済みのアドレスと異なる場合は、新たに生成したIPv6アドレスをインタフェースに追加し、当該プレフィックスと異なるIPv6アドレスを削除する
- デフォルト経路
-
- システム起動後に初めてルータ広告を受信すると、広告に含まれるルータアドレスをデフォルト経路として設定する
- 新たに受信したルータ広告に含まれるルータアドレスがデフォルト経路と異なる場合は、デフォルト経路を変更する
機能有効化時の注意
本機能を有効化する場合は、次の前提条件に適合する環境で使用してください。プロトコルの規定と異なる動作になるためRFCの記述では許可される事項の一部が制限されます。
- ルータ広告を送信する上位ルータが同時に複数存在しないこと
- アドレス情報が異なる複数のルータ広告を継続的に受信する環境では、受信するたびにインタフェースのアドレスやデフォルト経路が変化するため、正常なネットワーク運用が見込めません
- 上位のルータによる自発的なルータ広告に、すべてのオプション(プレフィックスやルータアドレス)が含まれること
- プレフィックスが含まれない広告(RFCでは許可されている)を受信すると、インターフェースのIPv6アドレスが削除されます
ヒント:NTT東西のNGNに関して、当社環境にて観測した限りにおいては全てのオプションが含まれているようです。
- プレフィックスが含まれない広告(RFCでは許可されている)を受信すると、インターフェースのIPv6アドレスが削除されます
- 上位のルータが広告を分割して送信しないこと
- 分割された一つ目の広告にプレフィックスが含まれていない(RFCでは許可されている)場合は、インターフェースのIPv6アドレスが削除されます
ヒント:NTT東西のNGNに関して、当社環境にて観測した限りにおいてはルータ広告が分割されることはないようです。
- 分割された一つ目の広告にプレフィックスが含まれていない(RFCでは許可されている)場合は、インターフェースのIPv6アドレスが削除されます
マルチパス経路の振り分け基準
パケットの送信経路がイコールコスト・マルチパスであるとき、各経路へパケットを振り分ける基準を指定できます。
- IPv4のみ設定できます。
- 送信元アドレス
- パケットの送信元アドレスを基準とし、送信元が同じパケットは同じゲートウェイから送信します。
- 送信先アドレス
- パケットの送信先アドレスを基準とし、送信先が同じパケットは同じゲートウェイから送信します。
- 送信元アドレスと送信先アドレスの組
- パケットの送信元アドレスと送信先アドレスの組み合わせを基準とし、組み合わせが同じパケットは同じゲートウェイから送信します。
- デフォルト動作
- 送信元アドレスと送信先アドレスの組
PPPACセッションの接続履歴管理
リモートアクセスクライアントからの接続履歴を管理するサービスを有効化または無効化できます。
- デフォルト動作
- 有効
PPPACセッション数の制限
PPPACに同時接続可能なリモートアクセスセッション数の制限(上限)を無効化することができます。
- デフォルト動作
- 有効(上限を制限する)
タイムゾーンの設定
システム時刻のタイムゾーンを設定できます。
- UTCからのオフセット(時差)または規定された標準時の略称を設定します。
- ログやステータスに記録される時刻や、モバイルデータ通信端末の時刻指定リセットなどに反映されます。
- タイムゾーンの設定変更前に記録されたログの時刻は変更されません。
- サマータイムおよびうるう秒には対応しません。
- デフォルト動作
- JST
機種による既定動作の差異
機種によりシステムの既定動作および設定変更可否が異なります。
機能 | SEIL/X1,B1,x86 Fuji,BPV4 | SEIL/X4,x86 Ayame,CA10 | SA-W1,W2,W2L,W2S |
---|---|---|---|
IPv4 Directed broadcastパケットの転送 | 無効 | 無効 | 無効 |
リンク状態とIPv4パケット受信可否の連動 | 無効 | 有効 | 有効(変更不可) |
リンク状態とIPv6パケット受信可否の連動 | 無効 | 有効 | 有効(変更不可) |
リンク状態とIPv4 Connected経路有効性の連動 | 無効 | 有効 | 無効 |
リンク状態とIPv6 Connected経路有効性の連動 | 無効 | 有効 | 無効 |
ICMPv4リダイレクトメッセージの受理 | 無効 | 無効(変更不可) | 無効(変更不可) |
ICMPv4リダイレクトメッセージの発行 | 有効 | 無効 | 無効(変更不可) |
ICMPv6リダイレクトメッセージの発行 | 有効 | 無効 | 無効(変更不可) |
ICMPv4アドレスマスク要求への応答 | 無効 | 無効(変更不可) | 無効(変更不可) |
マルチパス経路の振り分け基準 | 送信元と送信先の組み合わせ | 送信元と送信先の組み合わせ | 送信元と送信先の組み合わせ(変更不可) |
受信したIPv4フラグメントパケットの再キューイング処理 | 無効 | 有効 | 有効(変更不可) |
受信したIPv6フラグメントパケットの再キューイング処理 | 無効(変更不可) | 有効 | 有効(変更不可) |
IPv6通信時の経路MTU探索の抑制試行 | 有効 | 無効(変更不可) | 無効(変更不可) |
タイムゾーン | JST | JST | JST(仕向け地に追従しない) |